【2012/02/18 読売新聞社説】
一体改革大綱 実現へ民主と自民は歩み寄れ
政府が、消費税率の10%への引き上げを柱とする社会保障・税一体改革大綱を閣議決定した。
目指す方向は妥当である。野田首相は、大綱に合わせたビデオメッセージで「将来の世代にツケを回す無責任なことはやめるべきだ」と訴えた。
国民負担を伴う一体改革を実現するには、世論の支持が欠かせない。首相は国民の理解を広げるため、全力を挙げねばならない。
今回の大綱決定は、首相が呼び掛けた与野党協議が行われないまま、見切り発車となった。政府は3月末までに関連法案を提出するが、衆参ねじれ国会の下、成立の見通しは立っていない。
政府・与党は、引き続き、野党に協力を求めていくべきだ。それには、これまでの過ちを認めて謝罪しなければならない。
最大の問題は、民主党が2009年衆院選の政権公約(マニフェスト)に掲げた「新年金制度」の実現に取り組む、と大綱に盛り込んだことだ。野党が撤回を求めたのに、政府・与党は拒否した。
現行の年金制度改革を最優先するのは当然だ。その先の課題である、中長期の改革にこだわる野田政権の姿勢は理解できない。
この時期に、野党の反発を招くような態度を取るのも得策とは言えない。岡田副総理が、一体改革の実現を訴える全国行脚を、自民党の谷垣総裁の地元・京都府舞鶴市から始めたことなどである。
民主党内では、小沢一郎・元代表のグループが、消費税率引き上げ関連法案の提出を阻止する構えだ。行政改革や、衆院議員の定数削減、デフレ脱却にまず取り組まなければならないとしている。
だが、いずれも、法案提出の前提条件とすべきではない。選挙を意識して、消費税率引き上げによる財政再建を先送りするのは無責任である。
一方、自民党は、早期の衆院解散・総選挙を求めるだけで、与党との協議を拒み続けている。財政の危機は、長年政権を担当した自民党にも責任がある。野田政権に協力して改革を実現すべきだ。
各種世論調査で、内閣支持率が低迷しているにもかかわらず、自民党への支持は広がっていない。自民党の姿勢が党利党略と受け取られているからだろう。
自民党は、消費税率を10%とする方針を掲げているが、引き上げ時期などは明確ではない。
自民党こそ、党内論議を進め、税と社会保障改革の具体像を改めて示すべきだ。そうでなければ、政府案に対抗できまい。
(2012年2月18日01時06分 読売新聞)